用尺① 用尺の基礎編
前回のブログで用尺とは1着の服を作るのに必要な生地の長さと書きました。今回はもう少し詳しく用尺について説明します。
■複数人取りすると用尺は短くなる
裁断時の延反台の長さの制限内で複数人取りをした方が用尺は短くなります。
その理由はパターン数が増えれば組み合わせの可能性が増えるからです。
しかし複数人での型入れをする為にはある程度の生産ロットが必要となります。なぜなら量産裁断は生地を重ねて切るために重ね枚数が増えると型入れ数が少なくても済むからです。
裁断工程の作業効率の話と関連してきます。
ここでは複数人取りすると用尺は短くなることを覚えておきましょう。
■小さいパーツほど入れ勝手が良い
小さいパーツが多いほど用尺は短くなる傾向にあります。これもパターンの組み合わせの可能性が増えるからです。極端な話ですがTシャツの前身頃、後身頃を真ん中で分割すると用尺はとても短くなります。用尺を短くするためにデザイン変更を行い切り替えを入れる例もあります。デザインの切り替えが増えると縫製する箇所が増えるので縫製工賃が上がります。
縫製工程での作業の話と関連してきます。
ここでは小さいパーツほど用尺が短くなることを覚えておきましょう。
■サイズバランスにより用尺は変化します。
量産時のサイズバランスにより用尺は変化します。
例えば S:M:Lの3サイズを生産するとします。
用尺 S ー 0.8 / M ー 1 / L ー 1.2
生産割合い ①S:M:L=2:1:1
②S:M:L=1:2:1
③S:M:L=1:1:2
①の用尺 【(0.8×2)+1+1.2】÷4=0.95
②の用尺 【0.8+(1×2)+1.2】÷4=1
③の用尺 【0.8+1+(1.2×2)】÷4=1.05
サイズバランスの変化により用尺が変化するのがわかりますね。
用尺の変化は生地手配と原価に関係してきます。
企画、見積もりの段階で生産バランスを考慮に入れておく必要がありますね。
■理論用尺と実際の用尺
机上の論での用尺通りには実際にはいかないことが多いです。理由としては下記のことがあげられます。
〇生地にキズがあり取り替えなければならない
〇延反時に1枚に数cmの予備シロが必要
〇延反時原反をまたぐ時にロスが発生する
難しいですね。専門的すぎるので気にしないでください。
経験上、理論用尺よりも3%程余分に必要なことが多いです。
次回は 用尺② 用尺と原価 と題してつづる予定です。
前の記事へ
次の記事へ