この仕事を20年以上も続けてきて感じることを書き残しておこうと思いました。興味のある方は読んでみてください。1回目は「田畑を荒らすと再生には時間がかかります」で書いてみます。

　弊社は田舎にあり、周りは里山の風景が残っています。手入れされた田んぼや畑の景観は心が落ち着く良いものですよね。この地域も他のご多分に漏れず高齢化の影が忍び寄っています。農業の担い手がいなくなる。会社の裏からの風景を見て後何年この風景を維持することができるのだろうと考えることがあります。

　風景の維持は不断の営みの上に成り立っているので、管理する人がいなくなればあっという間に荒れ地になります。一度荒れ地になったら数年のうちに小さな林になり、手が付けられなくなります。恵みの土地が数年で耕作放棄地になる様は見ていて心が痛みます。

　また作物を育てたいと思っても元に戻すのは容易なことではありません。維持する労力の何倍もの時間と労力がかかります。水路やため池などの外的要素の環境維持も同じことが言えます。

　このことは国内の縫製業にも同じことが言えますよね。洋服を作る田畑は裁断場だったり縫製場ですが、一度荒れてしますと再生させることは容易なことではありません。水路やため池は生地屋さんやミシン屋さんや付属屋さんに当たりますよね。みんなが営みを続けているから全体として維持できているんですよね。どの役割の人がいなくなっても洋服を作ることは出来ないと思うんです。

　ここまでがんばって国内組として田畑を維持してきたから、次の世代にもこの環境をつたえたいなぁとしみじみと思う今日この頃です。